ブルターニュの庭で、フランスの食卓に招かれた日のこと

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庭にはテーブルが準備されていました。

まだ陽は高く、夕方とは思えないほど明るい。 大人たちはすでにワインのグラスを手にしていて、子どもたちは芝生を走り回りながら、テーブルにちょこちょこと戻ってはオリーブやチーズをつまんでいく。

「これ、夕食?それともまだ前?」

こっそり夫に聞いたけれど、彼もわからないと首を振ります。

これが、フランスのブルターニュで体験した食事会のはじまり。

ブルターニュへ、TGVで

夏、家族でヨーロッパへ行きました。

パリに入り、そこからTGV(フランスの新幹線)に乗ってブルターニュへ。

目的はフランスに引っ越した友人を訪ねること。

でも気づいたら、旅の中でいちばん深く残ったのは観光地でも美術館でもなく、Yさんの家の庭で過ごしたあの食事の時間。

ブルターニュはフランス北西部、大西洋に突き出た半島の地方。

ケルト文化の影響が色濃く、フランスの中でもひときわ独自の歴史と気質を持つ土地として知られています。

隣のノルマンディとは「モン・サン・ミッシェルはどちらのものか」という長年の論争があると教えてもらいました。日本で言うなら富士山の山梨と静岡みたいな関係、と言われて妙に納得したものです。

庭の食卓

Yさんの家に着いたのは夕方。

親戚のムッシュとマダムも来ていて、庭にテーブルが設けられていました。

まず出てきたのは、オリーブ、厚切りのパン、そしてジャガイモのグラタン。ワインが開き、大人たちは立ったまま話し始めます。

子どもたちはといえば、走って、戻って、つまんで、また走る。

誰もそれを注意しない。でも不思議と散漫な感じがしなくて、庭とテーブルの境界線がないような、緩やかな空気が流れていたんです。

フランスではこういったシーンはよくあるそうです。食前酒を楽しみながらおつまみをつまみ、ゆっくりと会話を楽しむーフランス人の日常に深く根付いた習慣。「軽く一杯」って感じが、食事を挟んでずっと続いているみたいだった(笑)。

「いつ夕食が始まるんだろう」と思いながら、気づいたら私もパンにバターを塗ってワインを飲んでいました。

大人のテーブルと子どものテーブル

食事が始まると、テーブルが2つに分かれます。

大人は大人で、子どもは子どもで。

日本だと家族ごとにひとまとまりで座るのが自然だから、この光景は最初すこし新鮮に映りました。でもYさんの説明を聞いて、腑に落ちたんです。

「フランスでは、大人の時間と会話を大切にする文化があるの。レストランでも、子どもが先に食べ終わっても静かに待つように教えることがあるよ」

子どもを「小さな大人」として扱いながらも、大人の世界もきちんと守る。どちらかが我慢するのではなく、それぞれの場所がある、そういう感覚なのかもしれないな。

この食事会でいちばん印象的だったのは、Yさんの立ち回り。 通訳・翻訳の仕事をするプロの彼女は、この日も母であり、通訳であり、場を和ませるエンターテイナーでもあった。

「ねえY、日本語にして」とムッシュ。

「この料理の説明を」とマダム。

「ママー!」と子どもたち。

それを全部受け止めながら、ワインの話をして、料理の説明をして、誰一人置いていかない。

会議でプロの通訳を見たことはあった。でも家庭の食卓でこれをやってのける姿には、素直に感動した。「子育てとキャリアを両立する」って、こういうことなんだと思った。

ブルターニュの味:ガレット、アンドゥイユ、ラタトゥイユ

アンドゥイユ
ラタトゥイユ

食前酒のあとに、食事は続きます。

そしてアンドゥイユ(andouille)。 切り口に渦を巻いたような独特の模様がある、ブルターニュ名物の内臓ソーセージ。 内臓特有の香りが漂ってきて「初めて!」な香り。一口食べてみると、燻製の深いコクがあって、ワインと合わさった瞬間に、この土地のことを肌で感じる。この独特な香りは臭みじゃなく、風味として成立していました。

ラタトゥイユはトマトと夏野菜を煮込んだ南フランス発祥の料理。ブルターニュの地元食材で作られたそれは、家庭料理のやさしさがあって、子どもたちももりもり野菜を食べました。

土地と食事は深く結びついているんだな、ということを感じるすてきなお料理と時間をいただきました。

街で食べたガレットも絶品!はそば粉のクレープに、ハムとチーズをシンプルに包んだもの。余計なものが何もない、という美味しさでした。土地のアンドゥイユソーセージを包んだボリューミーなメニューもありましたよ。

帰国後に気づいたこと|塩キャラメルの話

ブルターニュといえば、バターと塩なんだそう。この地方はフランス有数の酪農地帯で、塩キャラメル(キャラメル・ブール・サレ)発祥の地でもあります。

滞在中にスーパーで見つけて、お土産に買って帰りました。日本で開けて食べたとき、ひとくち目でその濃さに驚きます。甘さより先に塩が来て、それからバターのコクがゆっくり広がった。日本の塩キャラメルとは別の食べ物だと思いました。

庭のお食事も、このキャラメルも、全部、素材が私に押し寄せてくるのを感じました。

この旅について

東京を出て、パリへ。TGVでブルターニュへ。 その後パリからヘルシンキを経由し、フェリーでエストニアのタリンへ日帰りし、ヘルシンキから帰国。

航空券はJAL公式サイトの複数都市検索で手配しました。東京→パリ、ヘルシンキ→東京の直行便を押さえながら、ヨーロッパ内をまわるルートを組んでみました。子連れだったので、座席指定がスムーズにできること、全行程が同じ予約番号で管理できることが大きな安心につながりましたよ。

> JAL国際線

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タリンの日帰り観光記録はこちら▼

あの庭に招いてもらえたことで、フランスの食卓が「料理だけじゃない」ということがわかった気がしました。時間の使い方、子どもの扱い方、大人同士の距離感、全部が食卓の上にありました。

今回旅に出て、食べることの意味が、すこし変わった気がしたのでした。

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